5月のお題
何故迷ってしまったのだろうか。昼食の田楽がいけなかったのだろうか。やはり忍者の里だからか。我々は不覚にも伊賀の山中で迷走してしまった。我々の行く手には、神武さんの時のように山中でヤタガラスは現れなかった。 月曜日緑の日、伊賀へ。久しぶりの**自転車部のツーリング。青山町から伊賀上野経由で信楽、そして甲賀・貴生川への約60kmのコースになるはずだった。 名古屋から私とtwtrf2さん、yayoigaokaさん、ume-chanの4名、大阪からはknos3-san、そして伊勢から新参加のk-sanの6名。天気は曇りで、めちゃ暑くなりそうになく、ツーリングには上々の気候。心配していた雨も何とか今日一日は持ちそうだった。 青山町から途中すぐ隣の比土で城之越遺跡を見学し、山あいの水田地帯、木津川沿いを北上した。水を引いたあちこちの田んぼで田植えが始まっていた。新緑の里山の景色の中を走るのは気持ちがいい。 伊賀上野の駅前食堂でランチの田楽定食を頂き、さー信楽へ・・・。 伊賀上野の北側に東西に山並みが望める。信州や飛騨の山々ほどの高さではない。その山は北側にデコボコした高原となって信楽へと続いている。その山には青葉が茂り、ところどころ広葉樹の木々の新緑がこんもり盛り上がっている。広葉樹の多い山並みだ。秋にはさぞや・・。 伊賀上野から関西線沿いを東へ、佐那具の駅を越えたところで北へ、山へ入る。高原サイクリングの始まり。 20km過ぎたあたりから、私は先頭集団から大きく遅れ始めた。緩やかな坂、そして時々急坂、それがダラダラ続く嫌な登り坂だ。少し尻(正確には内股の裏側)が痛くなってきていた。 時折、山中に棚田が現れた。田には水が張られ、時折そこで田植えをしている。田んぼには大きな足跡が水の底にある。機械は入れ込めない場所なのだ。それにしても、よくこんな高い場所に水を引いてきたものだ。 へばってきたので、田植えしている姿をカメラ撮影しながら一休み、を何回かした。ある場所では棚田の中に円墳のような小さな小山があり、その天辺の木にゴイサギがとまっていた。振り返ると、山の新緑の中に紫の藤の花が咲いている。いいところだ。 このあたりから、完全に尻痛で「上り坂」にウンザリしていた。事前の調教せずのぶっつけ本番。この前自転車に乗ったのはいつのことやら。諏訪という場所を北上して桜峠を目指す。そこからは下り坂、のはず。 諏訪という字から右折すると、さらにダラダラ坂が続いた。途中で、私は何回も自転車を押していた。先頭集団から相当遅れて、峠のようなところで皆が待っていた。 聞けば、まだ桜峠はまだ先、300-400mの急な激坂が待っているという。ここが峠じゃないんだ。この調子なら・・・。ま、300mくらい自転車押すしかないな。 そこから、森の中の急激な下り坂が待っていた。サイコンの時速は50km近く出ていた。急坂を走りながら、恐くなってくる。ブレーキが・・・利きが悪・・・やばー。死にそうなくらいの下り坂。(無論登りだったら、登れない!!) 急坂を下りきると視界が開けた。中腹のこの場所から下に、はるか向こうに見えるのは、信楽・・・・・・ではなく、何と伊賀上野の町並みだった。まさかの坂の上から見た伊賀上野の町。しかし今更あの急坂を登る気もしないし、もう坂を下るしかない。もう一度、振り出しの伊賀上野に戻るしかない状況だった。伊賀上野のメビウスの輪。 それからは、再度山裾を東へ、二回目のラン。もう私には限界だった。JR関西線の脇道のさきほどえと同じ風景を見ていたら、何か虚しくなり、ウンザリしてきた。尻痛でもあり、途中から普通に立ち漕ぎして足にもきていた。これでは四年前の最初の土岐ツーリングの時と変わりない。投げやりになっていた。 JR関西線の佐那具の駅で待っていてくれた先頭集団に追いつく。**自転車部の皆に私の自転車のポジションを直してもらった。サドルの高さ、前後の位置、そして角度。それから、片利きで甘くなっていた前後のブレーキの調整。ブレーキシューが減っている、交換だ。 伊賀山中を走っていたとき、すべて、体にフィットしていなかったのだ。それよりも自分の体そのものが、稽古不足で調整できていない。自転車の部品よりも自分の体を取り替えないといけない。 ひょっとしたら、私のこれらの一連のトラブル、山/坂道サイクリングに対する私の不遜な行いが山中での迷走に繋がったのではないかと思えてきた。一緒に走った皆に私が災いをもたらしたのかもしれない。迷える子羊ではなく迷える子豚状態だった。ちゃんとおまじないとメンテをしないと。 ゴールの佐那具の駅で皆で記念撮影。ふと駅舎の後ろ側の駅前をみると、「串かつ」「生ビール」などなどと書かれた黄色の看板の小さな居酒屋と、その隣に「人生相談/心のアドバイザー/お気軽にどうぞと」と大きく看板に書いた相談所があった。下には「みちびき地蔵」と書いてあった。 居酒屋と人生相談所。不思議な景色だが、いいコンビネーションだ。ひょっとして同じ経営者かいな。 ―私のサドルの位置、ポジショニングは?そして調教方法は?稽古量は? ―そして何故我々は道に迷ったのか? 今回のツーリングで相談したいことが山ほどあった。もしあのターニングポイントになった諏訪の地にこの相談所があったら、このみちびき地蔵に相談したかもしれないな。 人生と道に迷うと、人は哲学的になるものだ。 「われわれはどこへ行こうとしているのか」 しかし、横の黄色い居酒屋の生ビールの看板には勝てず。結局は伊賀上野の町で食事をすることにした。 伊賀上野の駅周辺まで戻り、食事処(焼肉屋?)を探すがなかなからしいところが見つからない。すき焼きのXXという有名老舗すき焼きさんがあったのだが、いかにも高級ぽく・・・。ディナーも迷走・・・・。 「近くに値打ちな焼肉屋さん知りませんか」 と商店街を歩いていたオバーに私がたずねると、すぐに自転車に乗った別のオバーがやってきて、そんなら私が案内しましょうとかって出てくれた。 するとそのママチャリに乗ったオバーがサ我々六名に向かって振り返り、ちょっと芝居がかった調子で声を掛けた。 「よろしおますか」「ほなー、みなー、まいりまひょうかー」 と前を向き、ママチャリを進めた。 六台のロードバイクがママチャリの先導でその後ろをそろりそろりとゆっくり付いていく。目当ての焼肉屋「南大門」は路地を右に廻るとすぐの場所だった。ママチャリが先導する六台のロードバイク、その行進は何か壮観だった。 焼肉屋「南大門」は古くからある渋い店で、ホルモンなど肉が旨かった。しばらくして、そこの女将がステンレスのボールに山盛りのキャベツを持ってきた時に、私に小声で言った。 「これ、サービス。でもな、ほんまは、うちの店は、野菜はみな持ち込みなんよ。野菜の持込はかまへんねん」 「持込って・・?あっちの人(別の客)たちも、あの野菜、家から持ってきたの・・?」 「そーよー」 「じゃ俺たちも、ここへ来る前にスーパーで野菜買ってくりゃ良かった」 「でも、それだと誰が切るわけ。それは駄目やわー」 と私は女将に笑われた。 持ち込みOKだが、ちゃんと事前に食べれるように切ってから。次回はこれ覚えてとかないと。このシステムははじめて聞いた。いいじゃないか。 美味しい焼肉屋に導いてくれたママチャリのオバー。浦島太郎の龍宮城に導くカメ、それとも・・・吉野の山中で道に迷う神武たちの前に現れたヤタガラス。そうだ、このオバーが焼肉屋に導くヤタガラスなのだ。ビールを飲み、美味しい焼肉を食べ、何か、最後で救われたような気がした。 ―みちびき地蔵の焼肉屋とヤタガラスのママチャリオバーか Dis.56.38km Tim.3:31:19 Mx.49.9km/h ←恐くなって50km/hにならないようにした!! Ave.16.0km/h
by kouseramu
| 2009-05-06 23:35
| 自転車
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