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小林古径 『いでゆ』

皐月五月のお題---「目には青葉 山郭公 初松魚」



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小林古径 『いでゆ』



高校時代、美術のI先生がこの『小林古径』の『いでゆ』という作品を紹介してくれた。
I先生は、大学の専攻が、確か京都工芸繊維大学の日本画科で、
時折、授業で日本画家の作品を紹介し、話を聞かせてくれた。

その中でも、この作品が一番強く印象に残っている。
白い湯気で煙る浴室、その浴槽に入る二人の若い女性。
浴室の窓が、僅かに開けられ、そこから新緑が見える。
浴槽の湯にも、屋外の緑が映える。

浴室、湯気、そして女性の肌の白。
それら白の世界に、細い縦長の僅かな「緑」が瑞々しい。
効いている。

画面の中にある僅かな量の「緑」がなんとも瑞々しく、いい感じだ」「いい作品だ」と、I先生が力説していたのを覚えている。
しかし、高校生の私にしてみれば、授業中に昼間っから、女性の裸の絵画を見せてくれたことに、実は感激していた。

絵の中の女性の肌の白さが眩しく、
また浴槽の中で、俯いている女性の白い肌がほんのり桜色に染まっているのが、妙に艶っぽかった。

今あらためてこの絵を見てみると、この肌の薄い桜色と、新緑の緑色のコントラストが面白い。
また、この二人は若い女性の二人組みでなく、娘と母の二人ではないかと思えてきた。
そしてこの窓の「緑」が、私の記憶に残っている『いでゆ』のイメージより、もっと細く、短く、僅かな量なのに驚いた。画面の中で、ほんの僅かな面積でしかない。

やっぱ、この絵の「緑」は印象深い。
「緑」色というと、私はこの絵のことが、まず頭に浮かぶ。
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2006-05-06
名古屋市 守山区小幡
by kouseramu | 2006-05-12 20:46 | アート


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